ダオフシュタイン城
(Burg Dauchstein)
 別称  : なし
 分類  : 平山城(Höhenburg)
 築城者: 不詳
 交通  : ビーナウ駅徒歩15分
 地図  :(Google マップ


       <沿革>
           築城の経緯については詳らかでない。1100年前後ごろに、クーノ・フォン・ダオフシュタイン
          (ダオヒェンシュタイン/ターエンシュタインとも)なる人物が活動しており、タオフシュタイン城
          がクーノの居城だったのではないかとも推測されている。
           史料上にみられる最初のものは、14世紀半ばの城主ヨハン・フォン・ビンハイムの名である。
          一般的には、14世紀前半ごろにライン宮中伯の命を受けて徴税用の城として築かれたものと
          推測されている。同世紀末にヨハンが死去するとビンハイム家は断絶し、ヨハンの義理の兄弟
          であるシュヴィッカー・フォン・ヘルムシュタットが城主を継いだ。
           1448年、ハンス・フォン・ヘルムシュタットは城とビーナウの町をディーター・リュート・フォン・
          ベーディヒハイムに売却した。16世紀後半には、リュート・フォン・ベーディヒヘイム家の人々は
          ビーナウの町に居館を建てて移っため、ダオフシュタイン城は次第に荒廃していった。
           1629年、城と町はフーノルシュタイン家に売り渡された。17世紀後半には、城は牢屋として
          使われた。18世紀に入ると、城の所有者はヨハン・フォン・フィーオレート、アーデルスハイム家、
          アンドレアス・フォン・リーアウコーアと、目まぐるしく替わった。
           19世紀に入り、ハインリヒ・プロプフェが城を購入し、家族とともに住んだ。第二次世界大戦後
          は、州文化財局によって城の保全が義務付けられ、修築が加えられた。1999年にプロプフェ家
          は城を売却し、現在も個人所有である。

       <手記>
           ビーナウ駅から町を通り抜け、尾根上の道を西に向かうと、ダオフシュタイン城址入口の標識
          があります。ここからネッカー川に向かって斜面を下っていくと、細長い塔が現れます。これが
          ダオフシュタイン城の主塔兼居住塔なのですが、河岸の台地斜面の中腹という奇妙な立地に
          あります。おそらく、ダオフシュタイン城は戦闘用というより、ネッカー川航行の船から徴税する
          関所として築かれたものであるということを示していると思われます。
           主塔は綺麗に修復されていますが、個人所有のため入ることはできません。このほかには、
          主塔の南側に副塔とみられる塔の基部のみが、西側には石垣で補強された竪堀が見受けられ
          ます。この竪堀は、役割としてはむしろ堀切に近いものなのでしょうが、前述の通り河岸の中腹
          という特異な立地上、構造は竪堀そのものとなっています。ヨーロッパの城で竪堀というのは、
          非常に珍しいといえます。
           文化財局の保護まで入っている城跡ですが、立地・規模・築城の目的などから、残念ながら
          城らしい城とはいいにくいように思います(だからこそ貴重な遺構であるともいえるのですが)。  
  
 竪堀。
副塔の基部。 


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