サン・ジュスト城
(Castello di San Giusto)
 別称  : トリエステ城
 分類  : 平山城
 築城者: タール家
 交通  : トリエステ中央駅からバスに乗り、
      「Piazza del Sansovino」下車徒歩5分
 地図  :(Google マップ


       <沿革>
           トリエステは、ローマ時代にはすでに植民都市として発展しており、サン・ジュスト城の丘の
          上には城砦が築かれていた。1368年にヴェネツィアがトリエステを占領すると、城山に新たな
          砦を設け、港との間に城壁が造られた。
           本格的な要塞が構築されるのは、1382年にトリエステ市民がヴェネツィアへの対抗として、
          オーストリア公レオポルト3世への帰属を願い入れて以降のことである。レオポルト3世の孫の
          フリードリヒ3世は神聖ローマ皇帝となり、1468年に城の再興と整備を命じ、今も残るL字型の
          建物が造営された。1508~09年にかけて、建物基部に円形の稜堡が増築され、さらにこれを
          含む三角形の要塞に拡張された。
           1553年からは、要塞の南端に多角形の堡塁の増築工事が始められた。この稜堡は、帝国
          建築家ドメニコ・デラッリオにちなんでラリオ堡塁と呼ばれている。1616~36年には、三角要塞
          の残る北東隅に「栄華堡塁(Bastione Fiorito)が追加され、今日の縄張りが完成した。
           1750年までは、オーストリア帝国の司令官らが居住していたが、その後は兵士の駐屯地や
          監獄として利用された。要塞化されて以降は実戦を経験することなく、1936年に博物館として
          一般公開され、今日に至っている。


      <手記>
           トリエステはイタリアで唯一アドリア海の東側に位置する港湾都市です。いわゆる「未回収の
          イタリア」として第一次世界大戦後に伊領となりましたが、実際には中世以降ほとんどイタリア
          諸国に属していたことはありません。そのため、街並みや料理などはオーストリアとの親和性
          が高いといえます。
           サン・ジュスト城は、そんなトリエステの街と港湾を見下ろす丘の上にあります。この規模の
          城塞としては入城料がリーズナブルだったのが印象的でした。衛星画像を見ると分かりやすい
          ですが、三角形の要塞の3つの頂点に、それぞれ〇・□・△の稜堡が取り付けられた格好を
          しています。なんというか、昔のシューティングゲームとかでボスに出てきて、3種類の攻撃を
          順に繰り出してきそうなビジュアルです。直感的には、防衛力の面でどうなんだろうという疑問
          が湧いてきますが、幸か不幸か実戦を経験していないのでなんともいえません。
           城壁の上は歩けますが、□と△の稜堡には降りられません。〇の稜堡の最も古いL字型の
          建物は資料館となっていて、武器のコレクションが自慢なのだそうです。城塞の正面前には
          サン・ジュスト大聖堂やローマ時代のバシリカの礎石群があり、また北側斜面には街を囲って
          いた城壁の一部や、城門なども残っています。さらに、北麓にはローマ時代の劇場跡なども
          修復・展示されているので、併せて観光するとよいでしょう。
           ところで、トリエステは地図で眺めても、こうして実際に訪れても、どうにも天然の良港という
          感じには思えません。にもかかわらず、この街が古くから発展してきたのは、ひとえにクライン
          地方からの街道の出口にあたるからなのかな、と個人的に考察しています。

           
 港の桟橋から城山を望む。
 右手の建物は市庁舎。
サン・ジュスト大聖堂。 
 城塞前のローマ時代のバシリカ跡。
正面入り口。 
手前は跳ね橋になっています。 
 郭内のようす。
地下兵営のようす。 
 ラリオ堡塁上の城壁。
城壁上から栄華堡塁を望む。 
 郭内を俯瞰。
栄華堡塁を俯瞰。 
 最も古いL字型建物。
円形堡塁からトリエステの街を俯瞰。 
 栄華堡塁方面の城壁。
資料館のジオラマ。 
 ラリオ堡塁の城壁を見上げる。
同上。 
 栄華堡塁先端の城壁。
市街を囲う城壁の残存箇所。 
 城門(クチェルナ門)。
同上。 
 山麓のローマ劇場跡。


BACK