エギスハイム
(
Eguisheim )
 別称  : エギスハイム城
 分類  : 平山城(Höhenburg)
 築城者: エギスハイム伯フーゴー6世か
 交通  : コルマール駅からバスに乗り、
      「エギスハイム」下車
 地図  :(Google マップ

       <沿革>
           エギスハイム一帯は古代ローマ時代からワインの産地として開拓が進んでいた。アルザス公
          であったエティション(エティヒョーネン)家の庶流とされるノルトガウ伯フーゴー5世の子フーゴー
          6世が、10世紀の後半に初めてエギスハイム伯を称している。フーゴー6世によって、八角形の
          外郭線をもつ城館が築かれたとされる。他方で、現地説明板には8世紀にカロリング朝配下の
          エギノと称する領主が城砦を構えたとあるが、典拠は明らかでない。
           フーゴー6世の一子ブルーノ・フォン・エギスハイム=ダグスブルクは神聖ローマ皇帝ハインリヒ
          3世の又従兄弟にあたり、その推挙で1049年に、トゥール司教からレオ9世としてローマ教皇に
          即位した。レオ9世はエギスハイム城ないし後のヴァーレンブルク城で生まれたといわれるが、
          史料上の裏付けはない。
           1144年にエギスハイム家が断絶すると、ダグスブルク伯がエギスハイム城を相続した。ダグス
          ブルク家はダボ家とも呼ばれ、その本貫はストラスブールの北西山中にあるが、フーゴー6世が
          同家のハイルヴィヒと結婚し、レオ9世の兄弟フーゴー7世の系統がダグスブルク伯を継承して
          いた。ダグスブルク家は、ほどなくダグスブルク=エギスハイム伯を称している。
           1225年にダグスブルク=エギスハイム家の最後の相続人であるゲルトルートが死去すると、
          伯父にあたるバーデン辺境伯ヘルマン5世が、彼女の遺領をストラスブール司教に寄進した。
          しかし、ゲルトルートの夫ザールブリュッケン伯およびライニンゲン伯ジモン3世をはじめ、多くの
          勢力がこれに異を唱えて武力衝突に発展した。1226年にはストラスブール司教ベルトルト1世・
          フォン・テックが、バーデン辺境伯からエーギスハイムの相続に関する権利を購入している。
           以後はストラスブール司教が支配下に置いたとみられ、14世紀初頭の司教ヨハン1世の財産
          台帳に、ベルチン・フォン・ブリエンスヴィルが城の4分の1を領していたことが記載されている。
          1348年には、司教麾下の領主としてハンス・フォン・ツェレンベルクが城全体の所有者となった。
          16世紀末ごろには、建物の状態は相当に悪化していたとされる。17世紀前半の三十年戦争に
          際しては、近隣の教会が所蔵する宝物の保管場所として利用された。
           フランス革命後の1795年、城は個人に払い下げられ、主塔と門は取り壊されて日雇い労働者
          の宿泊施設に改築された。このとき堀も埋められたとされる。1877年には火災で建物が全焼し、
          1885年に後のストラスブール司教ペーター・パウル・シュトゥンプフが跡地を取得した。シュトゥン
          プフは1888年からチャペルの建設に着手し、1894年に落成すると聖レオ9世礼拝堂と名付けた。


       <手記>
           エギスハイムはコルマールの南西に位置する小さな街です。コルマールの知名度が高すぎる
          ので目立ちませんが、エギスハイムも「フランスの最も美しい村」協会のメンバーで、白ワインの
          産地としても知る人ぞ知る観光名所です。そのようすはここで語るより、グーグルマップの衛星
          写真を見てもらえば一目瞭然でしょう。狭義のエギスハイム城跡の聖レオ9世礼拝堂を中心に、
          外側を二重の路地と中世そのままのような家々が囲んでいます。
           聖レオ9世礼拝堂は名前の通り教会というより小さなチャペルで、周囲より一段高くなっており
          小丘を利用した城砦が元であったことは容易に想像できるでしょう。上述のように堀は埋まって
          いますが、八角形の外郭線は今も健在で、なかんづく礼拝堂の背後には城壁も残っています。
          とはいえ現在では城跡らしさはほとんどなく、結局はこの美しい街並みをひたすら愛でることに
          なるでしょう。
           エギスハイムの周囲にはアルザスワインのブドウ畑が一面に広がっており、ぜひいずれかの
          ワイナリーで賞味することを強くおすすめします。私は礼拝堂からほど近いワイナリーで試飲を
          何倍も楽しみましたが笑、アルザス(エルザス)は文化的には完全にドイツとて、上品な甘さと
          香りの白ワインにすっかり惚れこんでしまい、帰国後に改めてこのワイナリーから個人輸入を
          図りました。
           また多くのワイナリーが集まるなか、旧市街の南西にはクラフトビールの醸造所もありました。
          ワインの街で地ビールとは面白いですねと、バスを待つ間に一杯ひっかけつつ店員の女性に
          話しかけたところ、「私の父がはじめたのよ」と醸造タンクを案内してくれました。いやぁほんとに、
          コルマールよりも印象に残っている美しい町です。

  
 三城からエギスハイムを見下ろす。 
西方のブドウ畑からエギスハイムを望む。 
 エギスハイム城跡の聖レオ9世礼拝堂と
 聖レオの泉および銅像。
 エギスハイム城に関する説明板。 
 礼拝堂前の城壁。
礼拝堂背後の城壁。 
 同上。
街の外周一重目の路地。 
 同上。
同上。 
 エギスハイムの納屋と呼ばれる角。
納屋の先の路地。 
 二重目の路地。
同上。 
 おまけ:エギスハイムのワイナリーで乾杯!
こちらはクラフトビールの醸造所で乾杯! 


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