笠根城(かさね)
 別称  : なし
 分類  : 山城
 築城者: 小笠原氏か
 遺構  : 曲輪、土塁、堀
 交通  : JR高山本線高山駅からバスに乗り、
      「笠根橋」下車徒歩20分


       <沿革>
           小笠原氏関連の城とも伝えられるが、詳細は不明である。


       <手記>
           国道156号線沿いを流れる小八賀川と、板殿の谷に挟まれて細く伸びる峰の先端部に
          築かれた山城です。麓からも直登できると思いますが、自分は板殿集落南西の農業団地
          から尾根伝いにアプローチしました。稜線上を700mほど歩きますが、ほぼフラットな道のり
          なので、労力は抑えられます。
           峰続きの東端には二重の堀切が穿たれ、とくに東側の堀はしっかり作り込まれています。
          その先は腰曲輪群が続き、一部の曲輪には低い土塁の痕跡も見受けられました。主郭は
          はっきりと2段に削平され、小城ながら遺構の残存状況は比較的良好です。
           他方で、弱点となりそうな北・西・南の三方に延びる尾根筋にはほとんど防御設備らしき
          ものは見られません。少なくとも北と西は、当時は道なき深い渓谷だったと思われ、さほど
          警戒する必要はなかったのかもしれません。
           笠根城北東の板殿集落背後には板殿城跡があり、おそらく当時はお互いに視認できた
          だろうと推測されます。板殿城の東方にも、お互いにギリギリ見えるくらいの間隔で城砦が
          3か所ほど続いており、狼煙によるネットワークが築かれていたのではないかと、個人的に
          考えています。それが信濃の小笠原氏によるものか、飛騨側の三木氏等によるものかは
          分かりません。ただ、このあたりから平湯にかけては、飛騨方にとってもあえて領有を争わ
          なければならないほど生産性が高かったようには感じられないので、小笠原氏が安房峠を
          越えて進出していた可能性は、十分に考えられるでしょう。

           
 南西から笠根城跡を見上げる。
 当方からアプローチする途中。 
 東端の二重堀切1条目。
同2条目。 
 腰曲輪群を見上げる。
腰曲輪の一つ。 
 腰曲輪と土塁跡。
2段に削平された主郭。 
 主郭から腰曲輪群を見下ろす。
主郭上段のようす。 
 主郭から西尾根を見下ろす。
同じく北尾根を見下ろす。 
 主郭北辺下の帯曲輪。
スタート地点の板殿(いたんど)集落。 


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