一条氏館(いちじょうし)
 別称  : 上野城、一条館、一条氏塁
 分類  : 平山城
 築城者: 一条信龍
 遺構  : なし
 交通  : JR身延線甲斐上野駅徒歩15分


       <沿革>
           武田信玄の異母弟一条信龍の居館址と伝わる。一条氏は武田氏の有力分家で
          あったが、鎌倉時代に途絶えており、信龍がその名跡を復活させていた。信龍が
          いつごろ館を築いたのかは定かでない。
           天正十年(1582)の織田信長の武田攻めに際し、一条氏館は駿河から侵攻した
          徳川家康の軍勢に攻められ、三月十日に落城した。このとき、信龍の嫡男信就が
          討ち死にしたとされるが、信龍の最期については3説ある。一般には、信龍も戦死
          したとされるが、『信長公記』では捕えられて斬首されたとあり、『甲斐国志』では
          すでに病死していたとされる。
           いずれにせよ、武田氏の滅亡とともに、一条氏館も廃されたものと推測される。


       <手記>
           笛吹川の河岸段丘上の緩やかな台地先端に鎮座する蹴裂神社が一条氏館跡
          とされています。境内には、立派な城址碑や説明板などが設置されていますが、
          遺構らしきものは認められません。
           神社の南側一帯は、歌舞伎公園や農村広場として整備されており、開発に先ん
          じて大規模な発掘調査が行われたものの、城館跡につながるようなものは見つか
          らなかったそうです。ただ、周辺は武田氏の祖源清光が甲斐に入って最初に住し
          たとされる市河荘に属し、また身延方面から甲府盆地へと侵入する喉元にあたる
          ことから、信玄の弟で信任も厚かったとされる信龍が城館を構えていたとしても、
          なんら不思議ではないように思います。
           余談ですが、歌舞伎公園にはふるさと会館と名付けられた長浜城模擬天守に
          そっくりな建物があります。内部は有料ですが、最上階からは八ヶ岳やアルプス
          など、甲斐の絶景を望むことができます。

           
 蹴裂神社。
城址碑。 
 神社周辺からの眺望。
おまけ:歌舞伎公園ふるさと会館。 
どうみても長浜城模擬天守です。ありがとうございました。 


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