福岡館(ふくおか)
 別称  : なし
 分類  : 山城
 築城者: 不明
 遺構  : 曲輪跡、堀、土塁、虎口跡か
 交通  : 仙台市営地下鉄泉中央駅よりバス
       「藤沢」バス停下車徒歩5分


       <沿革>
           『宮城郡誌』には、葛西清重の子孫左京太夫の弟大崎隼人清宗の居館とある。また、
          清宗は後に鴇田と姓を改め、その子若狭守が天正年間(1573〜1592)に在城したと
          あるが、両者とも実在が確認されていない。
           その他、一次資料をはじめ、文献にはみられない城である。

          
       <手記>
           福岡館は、七北田川がやや広い沖積地地帯に出る喉口部の丘陵に築かれた城です。
          浄水場の裏山が城域とされています。当然ながら浄水場を通り抜けるわけにはいかず、
          また山の周囲はびっちり獣除けのフェンスに囲まれています。そこまで高い鉄柵という
          わけではなかったので、何とか乗り越えられそうな箇所を見つけて、失礼ながら山肌に
          とりつかせていただきました。ですが、放棄された人工林というのはもっともタチの悪い
          もので、藪がひどくて装備なしには直登は困難な荒山でした。
           断腸の思いで諦めて下山すると、山麓のお宅の方がおられました。勝手に柵を越えた
          ことを怒られるかと思いきや、むしろ山から人が出てきたことに驚かれたようすで、お話
          をうかがうと、クマよりもイノシシの被害が深刻なのだとのことでした。
           『日本城郭大系』に記載されている城域からは外れますが、丘陵先端に鎮座している
          雷神社も、城の一部とみられています。たしかに、神社の本殿はやや広い境内の奥の、
          土塁状の台の上に建っています。また、その脇には裏手に通じる虎口のような開口部
          があり、さらにその奥は切岸で掘り下げられた堀切のようになっています。この小さな
          神社だけで、ひととおり城郭としての体裁は整っているように感じられます。
           ここまでを城域とすると、福岡館はかなりの規模をもった一大城郭ということになると
          いえます。ただ、神社と主城域の間は浄水場となってしまっているので、確かめること
          はもはや不可能です。

           
 雷神社境内と土塁状の土台の上に建つ本殿。
裏手に通じる虎口上の開口部。 
 境内背後の堀切状地形。
堀切状地形を国道側から。 
 主城域南東、東泉寺墓地からの眺望。
 『大系』によれば、ここも曲輪だったようです。


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