中野長者屋敷(なかのちょうじゃ)
 別称  : 鈴木九郎屋敷
 分類  : 平城
 築城者: 鈴木九郎
 遺構  : なし
 交通  : 地下鉄丸ノ内線・大江戸線中野坂上駅徒歩5分


       <沿革>
           言い伝えによれば、応永年間(1394〜1428)ごろ、この地で馬喰をしていた鈴木九郎という
          人物が住んでいた。あるとき九郎は馬を売りに行く途中で浅草に立ち寄り、観音菩薩に参拝
          したところ、馬はすぐに売れ、「中野長者」と呼ばれるほどの財を成したという。『新編武蔵国
          風土記稿』によれば、九郎は紀伊熊野の神官の末裔とされるが定かではない。
           その後、九郎の娘が若くして病死した(あるいは蛇身となった)ため、九郎はこれを嘆いて
          出家し、屋敷を寺に改めた。これが現在の成願寺のはじまりとされる。「正蓮」と号した九郎
          は、永享十二年(1440)に没したとされる。これが正しければ、中野長者屋敷は九郎一代の
          数十年のみ存在した屋敷であると推測される。


       <手記>
           中野長者屋敷は、現在でも首都高中野長者橋出入口などの形で地図上に残っています。
          成願寺がその屋敷跡とされていますが、遺構はありません。境内には、「史跡 中野長者
          屋敷」の石碑と、「鈴木九郎長者塚」があります。
           成願寺の立地は、やや幅広の舌状台地の麓にあります。馬喰上がりの単なるお屋敷で
          あれば何ということもないのですが、仮にも中世城館の体を成していたのであれば、むしろ
          本堂背後の台地上にあるのがセオリーのようにも感じられました。ですが、今となっては
          確かめようがありません。
           中野長者の種々の伝説についてはにわかには信じがたいところではありますが、何らか
          の領主層がこの地にいたとしても、不思議ではないでしょう。

           
 成願寺。
境内の「史跡 中野長者遺跡」石碑と「鈴木九郎長者塚」。 


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