神前城(かんざき)
 別称  : 神崎城
 分類  : 平城
 築城者: 神前正元
 遺構  : なし
 交通  : JR高徳線神前駅徒歩20分


       <沿革>
           『探訪ブックス 四国の城』によれば、享禄年間(1528〜32)に神前出羽正元が築いた
          とある。他方で、和泉半国守護の細川元常が讃岐国の神崎城主・土肥因幡守綱真に
          命じて、謀反を起こした阿波国の井上城主・谷氏を攻めさせたとする記述がある。綱真
          はそのまま後任の井上城主となっているが、この神崎城と神前城が同一であるのか、
          関係は定かでない。
           『南海治乱記』によれば、大永三年(1523)に安富筑前守(盛方)が(寒川)常隣の城を
          攻めたが、城主であった神前出羽少目がこれをよく防ぎ、逆に安富勢を追撃して大いに
          打ち破ったとされる(塩ノ木合戦)。この「常隣の城」とは、神前城のすぐそばにあったと
          される常隣城を指すとみられる。前書に従うなら、神前城が築かれたのはこれより後と
          なるが、当時すでに両城は一体ないし補完の関係にあったとも考えられる。
           その後の神前城および神前氏については定かでない。


       <手記>
           宮西公民館周辺が神前城跡とされていますが、城館跡を匂わせるようなものは何も
          ありません。南西側が浅い谷戸となっている緩やかな台地の縁にあり、典型的な在地
          領主の館城といった立地です。
           北西50m弱とあまりに近いところに常隣城があり、両者は一体不可分だったと推察
          されるのですが、実際にどのような関係にあったのかは不明です。

           

神前城跡付近を望む(中央右の橙色の建物が宮西公民館)。


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