正光寺城(しょうこうじ)
 別称  : 悪戸城
 分類  : 平山城
 築城者: 不明
 遺構  : 土塁、堀、虎口
 交通  : 東武佐野線田沼駅よりバス
       「本所入口」下車徒歩5分


       <沿革>
           西方750mほどのところにある須花城との関連が指摘されているが、史料には
          みられず詳細は不明である。


       <手記>
           正光寺城は、彦間川右岸の緩やかな舌状台地に築かれています。今でこそ
          彦間川は真っすぐ流れていますが、当時は台地の縁に沿って蛇行し、悪戸城の
          別称のとおり川沿いは湿地になっていたのでしょう。
           城域は寺の本堂境内ではなく、その東側にあり、比較的良好に残っています。
          方形単郭の城で、舌状台地にありながら斜面に面しているのは北辺の1辺のみ
          で、他の三方に堀と土塁を巡らしています。
           この城については、須花城の支城ないし対の城という見方が主流です。後者
          の場合では、須花城や小野城が足利長尾氏に奪われた天正十二年(1584)
          以降に佐野氏に築かれたということになります。
           ですが、私はどちらの見方にも懐疑的です。というのも、前述の通り正光寺城
          は舌状台地にありながら、地形全体を利用することはなく、あくまで台地の上に
          方形館を築いた程度にとどまっています。とても攻防戦に耐えられるとは思えず、
          純粋な在地領主の館とみるのが妥当です。須花城とどちらが先に存在していた
          のかは分かりませんが、正光寺城は相当に原始的な城館のように見えます。
          あるいは、建武二年(1335)に佐野国綱によって築かれたとされる須花城とは、
          実はむしろこの正光寺城を指すものではないかとすら感じられます。


           
 主郭内のようす。
主郭南辺の虎口と土橋跡。 
 主郭南西隅の堀と土塁。
同じく南辺東側の堀と土塁。 
 西辺の堀を主郭土塁上から。
西辺の堀の北端。 
向こう側は台地の崖です。 
 主郭の土塁。


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