郷六御殿(ごうろく)
 別称  : 楽寿園
 分類  : 平城
 築城者: 伊達綱村
 遺構  : 井戸
 交通  : 仙台駅よりバス
       「西国道路維持出張所前」バス停下車徒歩10分


       <沿革>
           仙台藩4代藩主伊達綱村によって、貞享四年(1687)に築かれた。伊達家の別邸であり、
          「楽寿園」とも呼ばれた。周囲に高さ1丈の土手と幅2丈の外堀がめぐらされていた。御殿内
          には三層の楼閣があり、現在は茂庭の大梅寺に移築されている。


       <手記>
           郷六御殿は、広瀬川と青葉山系に挟まれた河岸の平地にあった伊達家の別邸跡です。
          江戸時代には、大きな藩では城の郭外や川向うなどに別邸や庭園を造営し、城の防備の
          一部を託していました。例としては、日本三名園と呼ばれる金沢の兼六園、岡山の後楽園、
          水戸の偕楽園が著名です。
           仙台藩でこれに相当するのが、郷六御殿だと思われます。ただ、日本三名園と比べて、
          郷六御殿は仙台城から少々離れすぎているようにみえます。ですが、西から仙台を攻める
          場合、御裏林と呼ばれて藩に厳重に管理されてきた青葉山系の深山を抜けるのは困難で
          あり、自然攻め口は広瀬川沿いおよび名取川に限られます。郷六御殿は、この広瀬川沿い
          の攻め口を押さえる目的も踏まえて、造営されたものと考えられます。
           遺構はまったくといってよいほど残されていません。日本三名園の繁栄と比べて、淋しい
          限りです。民家の敷地内に、当時の井戸が残されているそうですが、どこにあるのかわかり
          ませんでした。


           


郷六御殿周辺現況。


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