長谷寺(ちょうこくじ)
 別称  : 菩提山
 分類  : 山岳寺院
 築城者: 不明
 遺構  : 石垣、削平地、池
 交通  : JR中央本線石和温泉駅徒歩40分


       <沿革>
           菩提山長谷寺は真言宗の寺院である。創建時期は定かでないが、平安時代には真言
          密教の霊場として栄え、千を数える宿坊が建ち並んでいたと伝わる。
           菩提山には笈形焼き(おいがたやき)の行事がある。これは、かつて長谷寺と勝沼町の
          大善寺が対立しており、さらに山梨岡神社が長谷寺に与したため、怒った大善寺の僧兵
          が攻め込んで神社の鳥居を奪って焼き、報復として長谷寺の僧兵が大善寺の笈(山伏が
          背負う箱)を持ち帰って焼いたことにはじまるといわれる(大善寺のある柏尾山には鳥居
          焼きの行事が伝わる)。伝承の真偽は不明だが、長谷寺が戦闘に巻き込まれる可能性が
          実際にあったことを示唆している。
           長谷寺の上には、南北朝時代ごろのものと思われる古城小手城がある。長谷寺との
          関連も考えられるが、確証はない。


       <手記>
           長谷寺は、今では山間の一堂宇ですが、栄えていたころの雰囲気や遺物はよく残って
          います。長い長い石段の両脇には、石垣で固められた僧坊跡が階段状に幾つも連なって
          います。
           本堂境内の下には、水堀状の池があります。最奥のここにだけ防禦用の堀があるとは
          ちょっと考えづらいのですが、かといって庭園や用水池という感じにも見えず、どのような
          役割の池なのか謎です。
           本堂付近からの眺望はなかなか素晴らしく、両脇に迫る山の間から笛吹川流域の平野
          を見渡すことができます。
           城館に加えてよいか微妙な遺構ではありますが、僧兵が詰めていたことはほぼ間違い
          ないこと、『中世城館調査報告書集成』に記載があること、そして前述の通り古城や小手
          城、さらに大蔵経寺山の新城との関連が指摘できることなどから、防御施設としての一面
          を有していたものと考えられます。

           
 長谷寺登山道石段。
 石段と僧坊跡のようす。 
 本堂下付近のようす。
本堂下の池。 
 本堂境内からの眺望。


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