岐宿城(きしゅく)
 別称  : なし
 分類  : 山城
 築城者: 宇久覚
 遺構  : 不詳
 交通  : 福江市街よりバスに乗り、
        「岐宿診療所前」下車徒歩40分


       <沿革>
           宇久島の領主宇久氏の8代宇久覚は、永徳三/弘和三年(1383)に福江島に渡り、
          岐宿城を築いて居城とした。覚の移住以前、岐宿は「鬼宿」と書かれていたとされる。
           嘉慶二/元中五年(1388)に覚が没すると、跡を阿野対馬守の子の勝が継いだ。
          阿野氏は京の出とされ、公家の滋野井家庶流阿野家に連なるとみられるが、詳しい
          系譜は定かでない。同年、勝は辰の口城を新たに築いて移った。その後の岐宿城に
          ついては不明である。

          
       <手記>
           福江島の北部、半島状の岐宿町の背後にそびえる海抜215mの城岳が岐宿城跡
          です。途中まで車道が通じていて駐車スペースもあるので、車があれば目立つ山容
          に比べて訪ねるのは容易です。
           駐車場の奥に説明板がありますが、山頂まではそこからあと50mほど歩いて登り
          ます。頂上には携帯電話の無線中継塔兼の展望台があり、島内でも有数の眺望が
          楽しめます。
           説明板には、「海からの敵に備えた石塁が残されており、石塁のなかに「岐」の字
          を彫った石がある。」とあるのですが、展望台の周囲を見てもそれらしき石塁はあり
          ません。手掛かりもなしにどこにあるかもわからない石を探すのは、RPGでも難易度
          が高すぎるので諦めました…。南北朝時代の山城ですから、山頂を削平した程度の
          城だったと思われ、展望台の建設により遺構の確認は困難です。上ってくる途中に
          竪堀のような地形がみられるのですが、城の遺構かは微妙なところです。展望台の
          建設に伴う資材の引き上げ溝のようにも見えました。
           最初から景色を味わう展望台として訪ねると、余分な期待もなく旅情に浸ることが
          できるでしょう。

           
 駐車場奥の説明板。
展望台を見上げる。 
 展望台入り口。
展望台からの眺望。 
 登山道中途の竪堀状地形。
 資材の引き上げ溝か。


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