小田野城(おだの)
 別称  : 小田野館、小田野出城
 分類  : 平山城
 築城者: 小田野氏
 遺構  : 曲輪跡、土塁、空堀
 交通  : JR中央線/京王線高尾駅よりバス
       「タウン入口」バス停下車徒歩5分


       <沿革>
           『武蔵名勝図会』に「北条氏照の家臣小田野源太左衛門というものの住居の跡なり」とある。土地の
          口伝では、八王子城築城と同時期に、源太左衛門によって築かれたとされる。また、天正十八年(15
          90)の八王子城の戦いの前後に、上杉景勝の軍に攻め落とされたとも伝わる。
           源太左衛門は、小田原の役で北条氏が滅ぶと小田源左衛門と改名し、後に水戸徳川家へ士官した
          とされる。
           源太左衛門については史料からその存在が見受けられるものの、小田野城に関しては史料に現れ
          ないため、長らく伝承上の城とされてきた。しかし、昭和五十三年(1978)に都の委託により八王子
          市が行った予備調査の結果、中世城郭と思われる遺構が検出された。これを受けて、当初城跡の山
          を真っ二つに割って通す予定であった都道61号線を急遽トンネルに変更した。

       <手記>
           小田野城は、北浅川と大沢川に挟まれた細い丘陵の一画にあります。北を案下道(今の陣馬街道)
          が走り、西から南へ案下道と甲州街道を結ぶ細い往還が抜けています。
           ゾウリムシのような形をした半独立丘で、山上を広く削平した主郭を中心に、複数の腰曲輪を備えた
          縄張りとなっています。主郭の北端付近に、櫓台のような高まりがあります。東麓の公園に説明板が
          設置されています。城跡へは、この説明版付近から無理やり登るか、西麓の民家裏手から登れます。
           説明板には小田野出城とあり、一般的にも八王子城の出城として認識されているようです。八王子
          城から見た小田野城の位置は、北からの敵の侵入を意識したものとなります。とすると、碓氷峠から
          侵攻した上杉・前田軍との間で、八王子城の戦いの前哨戦があったとしても不思議ではありません。


           
 小田野城説明板。
小田野城主郭のようす。 
奥に櫓台らしき高まりが見えます。 
 主郭南端付近の土塁。
主郭東麓の堀跡。 


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