津室館(つむろ) | |
別称 : 飯土用城 | |
分類 : 平山城 | |
築城者: 浅賀五郎左衛門 | |
遺構 : 曲輪、堀、土塁、虎口 | |
交通 : JR東北本線鏡石駅からバスに乗り、 「飯豊」下車徒歩1分 |
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<沿革> 二階堂家臣浅賀五郎左衛門によって、嘉吉元年(1441)に築かれたとされる。館跡に 鎮座する豊香島神社は、2代浅賀但馬守守重が、武運長久を祈願して創建したものと 伝わる。浅賀氏は、読みが同じ安積氏を本姓とすると推測されているが、詳しい出自は 不明である。 6代浅賀守直は、天正十七年(1589)の須賀川城攻防戦に際し、籠城方に加わり討ち 死にしたとされる。津室館も攻め落とされ、浅賀氏とともに滅んだ。 ちなみに、ドラマ「水戸黄門」の格さんのモデルとされる安積覚兵衛澹泊の祖父正信 は、『水府系纂』によれば飯土用城主飯土用藤内の三男とされる。また、守直の三男 宗清は飯土用氏の養子となったともいわれ、あるいは飯土用氏と浅賀氏、飯土用城と 津室館の間には深い関係があるとも考えられる。飯土用氏は須賀川落城後に帰農し、 正信は小笠原家に仕えた後、水戸徳川家に召し抱えられた。 <手記> 館跡は飯豊村の鎮守豊香島神社の境内となっているので、訪城は容易です。本殿の 裏手が主郭で、上下2段になっているのが特徴です。 主郭の背後にも広めの曲輪があり、さらにその後背には最大の見どころといえる空堀 が控えています。互い違いの2本の堀によって堀切状になっていて、両者の間は喰い 違いの虎口を形成しています。虎口を抜けた先には主郭の土塁が迫り、小さいながらも 技巧的なつくりをしていることがうかがえるでしょう。 訪城後にこうして調べて初めて知ったのですが、格さんこと安積澹泊ゆかりの場所で あったとは意外です。現地にもとくにそれを匂わせるようなものもなく、埋もれてしまって いるようで残念に思います。 |
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津室館跡近望。 | |
参道前の説明板。 | |
豊香島神社。 | |
2段になっている主郭。 | |
主郭上段のようす。 | |
主郭背後の曲輪。 | |
後背の空堀。 | |
同上。 | |
空堀北端のようす。 | |
喰い違い状の虎口。 | |
南側の空堀。 | |
虎口を抜けた先の主郭土塁。 | |
南東中腹の腰曲輪を見下ろす。 |