天神山城(てんじんやま)
 別称  : 天神山館
 分類  : 平山城
 築城者: 岩城氏か
 遺構  : 曲輪、土塁、堀、虎口
 交通  : JR常磐線竜田駅徒歩30分


       <沿革>
           明確な遺構が残るが、史料にはみられない城である。


       <手記>
           天神山城は木戸川河口部の河岸と東の海岸に挟まれた天神岬の丘にある崖端城です。
          中心部は堀と土塁に囲まれた方形の曲輪が3つ横並びになっており、北野天満宮の鎮座
          する西端の曲輪が主郭とみられています。東端の第V郭の土塁は、外郭の堀や土塁と
          つながっています。外郭は総構えとして築かれたと見られる広大な曲輪で、その外側には
          あやめ池があります。この池は、かつては天然の水堀の役割を果たしたとみられており、
          城外には湿地が広がっていたそうです。
           一見して、浜通りの城郭では異質といえるほど計画的な縄張りと、横矢折れや喰い違い
          虎口、張り出しの土塁といった戦国末期の技巧が強く印象に残ります。おそらく、岩城氏が
          木戸城富岡城を奪取し、佐竹氏に従属を余儀なくされた1570年代以降に、対相馬氏の
          最前線拠点として、佐竹氏の影響下で築かれた、あるいは改修を受けたのではないかと
          推察されます。
           現在、城外はキャンプもできる天神岬スポーツ公園として整備されているのですが、これ
          ほどの遺構が、外郭土塁までも崩されることなく残されているというのは、実に貴重である
          と感じました。もちろん、キャンプ場で元気に跳ね回るチビッ子やその親御さんたちには、
          まったくの無用の長物でしょうが笑


           
 天神山城跡のある天神岬を南から望む。
主郭の北田天満宮。 
 主郭西辺の堀と土塁。
第U郭のようす。 
 第U郭東辺の堀と土塁。
第V郭北東隅の土塁。 
 第V郭の虎口。
第V郭と第U郭の堀と土塁。 
 外郭の喰い違い虎口。
外郭のようす。 
 外郭の張り出し土塁。
あやめ池。 
 城域西端付近の土塁。
 大手口か。


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