寺洞砦(てらぼら)
 別称  : 寺洞砦Ⅰ、寺洞砦Ⅱ、寺洞砦Ⅲ、寺洞砦Ⅳ
      蓬ヶ洞砦Ⅰ、蓬ヶ洞砦Ⅱ
 分類  : 山城
 築城者: 姉小路頼綱か
 遺構  : 曲輪、堀、土塁
 交通  : JR高山本線高山駅からバスに乗り、
      「ラクール南」下車徒歩40分


       <沿革>
           広瀬城高堂城の間の4か所のピークに城砦跡が残るが、史料には見られない。
          畝状竪堀群を具えていることから、姉小路頼綱(三木自綱)によって高堂城主広瀬
          宗域が謀殺された天正十三年(1583)から、金森長近による飛騨侵攻が行われた
          同十五年(1585)の間に整備されたものと推測されている。


       <手記>
           寺洞砦は上述の通り4つの峰に分かれていて、それぞれの呼び名には2通りある
          ようです。1つは、「左上(山頂)」「左下」「右下」「右上」の純に、寺洞砦Ⅰ・寺洞砦Ⅱ
          ・寺洞砦Ⅲ・寺洞砦Ⅳとするもの。もう1つは、同順で蓬ヶ洞砦Ⅰ・蓬ヶ洞砦Ⅱ・寺洞
          砦Ⅰ・寺洞砦Ⅱとするものです。ここでは、ひとまず便宜上、前者を採用することに
          します。
           砦跡へ行くには、まず瓜巣公民館から高堂城への登山道を登ります。沢伝いの道
          が突き当たるところで高堂城へは左に折れますが、真っすぐ上がって鉄塔を目指し
          ます。その手前で右折し、低木の藪へ突入します。ちょっとげんなりする藪ですが、
          これを抜けてしまえば手入れされた植樹林となるので、後は簡単です。
           ひたすら尾根をたどると、寺洞砦Ⅰに至るまでに3条の堀切があります。そのうち
          2条目の堀切は、北側だけ長い竪堀が続いています。Ⅰは西側後方が堀切、東側
          前方が横堀となっていて、圧巻なのは北辺と南辺が畝状竪堀群となっていること
          です。反面、郭内の削平は甘く、姉小路氏の急ごしらえの砦であったとする見方の
          傍証となっているといえます。
           南側の尾根を進めばⅡがあります。Ⅱは背後に1条の堀切、そして前方に浅めの
          二重堀切があり、やはり側面には畝状竪堀群が見られます。
           一旦Ⅰへ戻り、横堀を越えて尾根を下ると、続いてⅢに到達します。Ⅲは山頂の
          周囲を切岸として、主郭と帯曲輪の2段に削平されています。畝状竪堀は見られず、
          北側尾根に堀切を1条設けています。
           堀切を越えてさらにしばらく下ると、最後のⅣに出ます。こちらも畝状竪堀はなく、
          背後に1条の堀切と、やや造作の甘い帯曲輪という構成です。帰りは、またⅠまで
          登らなくないのでカロリーは消費しますが、それに見合うだけの遺構を残す城砦群
          といえるでしょう。

           
 最初に見られる堀切。
2条目の堀切。 
 2条目の堀切から続く竪堀。
3条目の堀切。 
 Ⅰ背後の堀切。
Ⅰの郭内のようす。 
削平は甘いように感じられます。 
 北辺の畝状竪堀群。
南辺の畝状竪堀群。 
 Ⅰ東端の横堀。
Ⅱ背後の堀切。 
 Ⅱの郭内のようす。
東辺の畝状竪堀群。 
 Ⅱ前方の二重堀切。
Ⅲの切岸。 
 切岸下の帯曲輪。
Ⅲ北尾根の堀切。 
 Ⅳの郭内のようす。
Ⅳの帯曲輪。 
 Ⅳ背後の堀切。
おまけ:鉄塔からこんな感じの藪を抜けます。 


BACK