土屋氏陣屋(つちやし)
 別称  : 土屋忠治郎館
 分類  : 陣屋
 築城者: 土屋利清
 遺構  : 墓
 交通  : 西武池袋線武入間市駅または
      JR八高線箱根ヶ崎駅からバスに乗り、
      「北中野」下車すぐ


       <沿革>
           寛永二年(1625)に570石余の領地を与えられた旗本土屋利清によって築かれた
          とされる。利清は旧武田家臣でのちに土浦藩主となった大名土屋家の一族と推測
          されるが、詳しい出自は不明である。同十二年(1635)に、利清は初代川船奉行に
          任じられている。
           2代利次は奈良奉行を務め、大和国内に500石を加増された。利次の次男成勝は、
          利次が建立した土屋家の菩提寺長久寺の初代住職となった。同寺には、初代利清
          (利常)から10代利溥までの墓石が残る。


       <手記>
           土屋氏の陣屋は長久寺の近くにあったとされていますが、遺構はなく詳しい位置
          も不明です。本堂向かって右手には、広々とした空間にソーシャルディスタンスを
          守っているかのように間隔を開いて、件の歴代当主の墓石が並んでいます。一連
          の墓石は市の有形文化財に指定されているのですが、現地説明板には初代利清
          の名を「利常」と記しています。墓石は確認していないので、これが単なる誤記なの
          か、利清の別称なのかは定かではありません。
           ちなみに、『日本城郭大系』や『中世城館調査報告書集成』では「土屋忠治郎館」
          としていますが、利清はじめ「忠治郎」という通称の当主がいたのかも不明です。
          同様の通称に関する謎は700mほど東の大森氏陣屋(大森錦治郎館)にもあり、
          なにか入間市特有の問題のように感じてしまいます。

           
 長久寺。
歴代当主の墓石。 


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