鶴島御前山(つるしまごぜんやま)
 別称  : 日向屋敷
 分類  : 山城
 築城者: 小俣日向守か
 遺構  : 削平地か
 交通  : JR中央本線上野原駅徒歩50分


       <沿革>
           『甲斐国志』に、「鶴島御前ト称ス山頂平坦ノ地ヲ日向屋敷ト云 土人相伝ヘテ
          小俣日向守ナル者ノ居館ナリシトゾ」とある。郡内地方には、足利泰氏の子小俣
          賢宝の曽孫義弘が足利尊氏に背き、敗れて土着したとされる甲斐小俣氏がある。
          小俣日向守はこの一族の出と思われるが、詳細は不明である。


       <手記>
           桂川流域には御前山と呼ばれる山がいくつかあり、いずれも烽火台などとして
          利用されていたものと考えられています。鶴島御前山もその1つで、地図上など
          正式には単に「御前山」と呼ばれているようですが、便宜上地名を付けて区別を
          図っています。
           桂川の南岸にそびえる半独立の山塊で、尾根続きの西側には栃穴御前山
          あります。上野原駅から桂川橋を渡って駒門の集落を上ると、小型車2台分ほど
          の駐車スペースのある墓地があり、その脇が登山口となっています。しばらくは
          ごく普通の山道なのですが、途中からロープが何本も垂れ下がる急峻な崖登り
          となります。ロープに身を預けるのが不安な方は、南西から回り込むルートか、
          栃穴御前山の麓から登るルートをおすすめします。
           崖道を登りきると、小さな祠のあるいくぶん開けたピークに出ます。ここはまだ
          山頂ではなく、頂上まではもう20mほど登ります。とくに人の手が入っている様子
          はなく、城域に含まれるかはかなり疑問です。
           頂上についても、というより鶴島御前山には明確に城郭遺構と呼べるものは
          見当たりません。頂部は東西に細長く、あえて言うなら山頂付近がいくらか均さ
          れているかな、という程度です。とても人が住むような場所ではなく、小俣氏の
          屋敷があったとしても、それは山麓のどこかでしょう。
           峰続きにスライドすれば栃穴御前山に移動できますが、1か所間違えやすい
          分岐点があるので注意が必要です。頂部を西側へ歩くと高柄山方面と書かれ
          た、左手に下りる道があるのですが、これには従わず、一見なにもなさそうに
          見える右手尾根先端方面へさらに進みます。すると、特徴的な二枚岩に突き
          当たり、その右手から下るルートが正解です。
           栃穴御前山が比較的整った城砦であるのに対して、鶴島御前山はほとんど
          自然地形という対照的な関係にあります。このことは、日向守の持ち城は栃穴
          御前山の方であり、鶴島御前山はそれに付随する物見台程度の施設だったと
          考えると、整合性があるように思われます。

           
 桂川橋から鶴島御前山(左)
 と栃穴御前山(右奥)を望む。
途中の小祠のあるピーク。 
 山頂。
頂部のようす。 
 頂部西端の二枚岩。
 栃穴御前山へはこの右手を下っていきます。
二枚岩付近からの眺望。 
中欧左手の白塔の立つ山が四方津御前山。 
 そこから尾根続きの中央右手が牧野砦。 
その間の中央左側手前が栃穴御前山。 


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