西郷館(さいごう)
 別称  : なし
 分類  : 平山城
 築城者: 西郷吉久か
 遺構  : 曲輪、土塁、虎口跡
 交通  : JR常磐線湯本駅からバスに乗り、
      「町下橋」下車徒歩10分


       <沿革>
           『日本城郭大系』および『探訪ブックス 東北の城』に、西郷三郎吉久の居館とある。また
          後書には、文永(1264〜75)のころに住吉館主の巨鯨岡某が在城していたとも記されて
          いる。
           いわき市平中神谷の座主館近くにある駒清水には、徳治年間(1306〜07)に片寄城主
          片寄義忠が西郷の城主と戦って渇きに喘いでいたとき、馬を下りて羽黒大権現に祈った
          ところ、岩陰から清水が湧き出たとする伝承がある。いわき市一帯で、西郷の城といえば
          本館よりほかにはない。
           巨鯨岡氏については、岩城氏庶流で鯨岡館主の鯨岡氏との関連が考えらえる。しかし、
          両氏ともに詳細は不明である。


       <手記>
           西郷館は南に岩崎川が流れる緩やかな丘の上にあり、西側の能満寺との間は峠道の
          鞍部となっています。現況は耕作放棄地で、峠道から上がっていくことができます。
           堀は見られないものの、削平地や土塁ははっきりしています。主郭と思われる頂上は、
          周囲の竹に侵略されつつあり、もう数年もすると歩くのも困難になるような気がしてなり
          ません。
           丘自体は要害性はあまり感じられず、おそらく北側に広がる裾野を開発した在地領主の
          居館と推察されます。西郷氏・巨鯨岡氏ともいつごろの氏族なのか定かでありませんが、
          複数の曲輪が並んでいるようすから、戦国時代までは使われていたのではないかと考え
          られます。

           
 峠道から西郷館跡を望む。
途中の段築。曲輪跡か。 
 主郭西下のやや広い削平地。
 副郭か。
副郭脇の土塁。 
 土塁の突き当りのようす。
主郭下の帯曲輪。 
 主郭の虎口跡か。
主郭のようす。 
 主郭北側下の腰曲輪。


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